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仏の国でもアートスペース  2016年3月1日 (55)i:cat gallery

大都会バンコクを抜け出してラオスへとやってきたよ!

ではいってみよ!

ここはラオスの首都ビエンチャン。はっきり言って何の情報もありません。これまでなら人や場所を紹介してもらったうえで、その土地に赴くのですが、ことラオスに関してはだーれも情報を持っていなかったのです。まあなんもなかったらなかったで、しばしゆっくりしますかな。とりあえず街を歩きます。ラオスって いう国、犬も歩けば寺にぶつかる。お寺が大量にあるのです。そしてどれも色彩が強い。

寺の中

仏像がずらり

インスタですね

緑と金色が好きみたい。

こちらも長畑君よろしく、緑と金の彫刻。

Bの巨人

よく見ると仏

お坊さんもたくさんいるよ

セブラルブッタ

これだけ、お寺ばっかりだし、たまにはコンテンポラリー抜きでもいいかなーと思っていたところ、街の中心から少し外れたところで偶然にもギャラリーらしきスペースを見つけてしまいました。よくある売り絵のお土産物屋さんかもしれませんが、とりあえず入ってみましょう。

ガラス張りの外観です

ギャラリーのようです。

中にお邪魔してびっくり、飾ってある写真は攻め気味の作品ばかり。どうやら企画展のようです。ラオスでこういった場所があるのが興味深く、「ハロー」と挨拶をしてみたところ、スペースの方が奥から出てきてくれました。まずはオラの自己紹介。東南アジアのオルタナティブ・アート・スペースをリサーチしている旨を話します。すると、この方、こちら『i:cat gallery』のファウンダーだったのでした。
ファウンダーのCathrine O’Brienさん。

Cathrineさんはメルボルン出身のアーティストで2004年にラオスを訪れ、それからずっとこちらに住んでいるとのこと。2009年に、もともとパン屋さんだった現在のスペースに出会い、空間に一目惚れ。『i:cat gallery』をオープンしたそうです。ここでは、ラオスの作家やラオス在住の外国人作家を中心に、2週間から1ヶ月の期間での企画展を開催。写真だけでなく、絵画、立体、インスタレーション、映像などの様々な作家を紹介しているそうです。ギャラリーの他にもショップやレジデンススペースもあり、ライブ ペイントや音楽のイベント、またスクリーニングやワークショプなども開催しているそう。そう、ここはまさしくラオスのオルタナティブ・アート・スペースだったのです。偶然見つけちゃったなんて、マジすげーべ。

こちらギャラリー。ラオスの女性写真家兼パフォーマーの展示。

奥のショップ部分

こちら2階です。レジデンスの部屋もあるよ。

2階でも作品を売っています。

お話を聞いていると、センサーシップ(検閲)が未だ厳しいラオスにおいて、コンテンポラリーアートを見せることはとても難しく、首都のビエンチャンであってもここの他には、オルタナティブ・アートスペースは存在し無いとのことでした。ただし才能ある若い作家たちはもちろんいるとのことで、この場所でそう いったアーティストを紹介しつづけているのだそう。作品は全て販売しているそうですが、なかなか売るのは難しいそうで、どうやって運営しているのか気になって尋ねたところ、Cathrineさんはインターナショナルスクールで教えていて、ご自身の持ち出しでこの場所を回しているのだそう。オーストラリア からコンテンポラリーアートの未開の地、ラオスに移り住み、自腹でオルタナティブスペースをはじめるなんて、世界にはいろんな人がいますね~。面白い!

お寺の国のアートのスペース
i:cat gallery
https://www.facebook.com/icatgallery/

Cathrineさんのご紹介で、ラオスの様々な地域でインディペンデント映画の上映イベントを開催しているNGO団体が、街の本屋さんでトークショーを開くというのでそちらにもお邪魔しました。イベントの名前は『VIENTIANALE』といって、インディペンデント映画の上映だけでなく、映像のワークショップなどをラオスの学生等を対象にして行っているようでした。映像においても検閲が厳しいそうで、トークイベントではそうした現状が聞けて興味深かったです。ただし、来ていた観客が全てラオス在住のお金持ちっぽい白人の方々で、なんとも言え無い気分に一人なってしまいました。うーん、なんだかね、、、

VIENTIANALEの説明スライド

トーク終了後、『VIENTIANALE』でも作品を上映しているラオス出身の映画監督で、Lao New Wave Cinemaという映像系のコレクティブのCoファウンダーでもあるAnysay Keolaさんと少しだけお話をしましたが、ラオスではまだまだコンテンポラリーアートはほとんど見られなくて、実験的な映像作品を作っている作家なら少しだけいるとのことでした。ラオス、これから新しい動きが生まれてくるのでしょうね。次来たら全然変わっているのだろうなー。

右がAnysay Keolaさん

ラオスはこれでさようなら。お次はミャンマーの首都ヤンゴンへと飛びます。ラオさんまたくるよ~

  • i:cat gallery

    16:230-231 Settathirath St, Si Muang, Vientiane
    設立年: 2009
    アクティビティ: ギャラリー、ショップ、レジデンス、スクリーニング、トーク、ライブ、ワークショップ
    ラオスで唯一のコンテンポラリーアートを扱うアートスペース