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僕らの世代はまだ未来を失っちゃいない 2016年3月18日 (67)lostgens’、(68)Rumah Api

本日でいよいよマレーシア編も最後です。近頃サボってばかりでさーせん。がんばらんと、終わりが見えない。

ではいってみよ!

今日は、滞在させてもらっているスペースのお話を夜に聞く予定ですが、その前にまずKLにある『REAL WORKS』というアートスペースにお邪魔します。

2階のスペースへと続く入り口

ここは東南アジアのミュージックシーンにおいてパンクの神様として広く知られるJOE KIDDさんと、横浜美術館での展覧会にも参加したことのあるマレーシアを代表する現代アーティストYee I-Lannさんが運営するアートスペース。訪れたときはShieko Retoさんというアーティストの個展をやっていました。

LGBTを題材とした個展を開催中

作品の前でポーズを決めるアーティストのShieko Retoさん

Shiekoさんと話をしていたら、ちょうど下のカフェにJOE KIDDさんがいらしているとのこと。Yee I-Lannさんは展覧会前で忙しく今回はお目にかかれませんでしたが、JOEさんにはお会いでき、90年代の東南アジアのPunkシーンとARTシーンの関係についてお話を伺うことができました。とても興味深く、来てよかったです!

パンクの神様(オラの前のノースリーブのお方)と一緒に

日が暮れてきたので、一度、滞在先へと戻ります。オラがお世話になっているこの場所は『lostgens’』。ギャラリー、多目的スペース、レジデンスを併設したアートスペースです。お話を聞かせてくれたのは『lostgens’』のファウンダーの一人で、今回のマレーシア滞在で色々とお世話をしてくれたアーティストのYeoh Lian Hengさん。日本にも何度かきていて、世界的なネットワークを持っているオラと同世代の心優しきアーティストです。

一番左がYeoh。若い二人はインターンスタッフです。

『lostgens’』は2004年に4人のアーティストによって活動を開始。はじめは庭付きで10も部屋がある大きな屋敷を拠点としながら展覧会やパフォーマンスなどを行っていました。そこにはアーティストを始めミュージシャンやパフォーマーなど様々な人が出入りしていて、そこでマレーシアのアート シーンのネットワークを築いていったのだそう。活動はスペースの外でも行っていたそうで、マレーシアだけでなく他の東南アジアのアーティストを招いてアートフェスティバルを数回開催。2007年ぐらいからコミニティーベースのプロジェクトに興味を持ち始め、アクティビストと一緒に街中や郊外での企画を展開するようになります。そうしたプロジェクトは、ワークショップや屋外でのパフォーマンスなどを通じて、普段アートに触れることのない貧しい人々や子供達を巻き込みながら進められていったそうです。2011年には、多くの中華系マレーシア人が古くから暮らす歴史ある地域を、地下鉄の新しい駅を開発するために政府が取り壊そうとした際、それに反対する大規模なアートプロジェクを開催。それがきっかけとなり、現在あるスペースへと移ってきました。ここでは通常の展示に加え、パフォーマンスイベント、音楽ライブ、ワークショップ、スクリーニング、最近では哲学の授業なども開催しています。

こちらはマレーシアの滞在最終日に『lostgens’』で開催したトークショーの様子。

トークには国際交流基金の谷地田さん(一番手前の女性)もいらしてくれました。

Yeohのお子さんもきてくれたよ

トークの最後はみんなで一緒に。FINDARSのみんなも来てくれました~

Yeohはこのスペースでの活動だけでなく、外へと積極的に出て行き様々な人々とコラボレーションを行っています。「Art can do somthing」と信じているのだYeohは言います。政府の悪しきポリシーに対して、アートを使った新しい戦略で対抗していきたいとも。国民を無知に追い込むことで全てをコントロールしようとする政府を、アートによって変えることが夢なんだと、少し恥ずかしそうに語ってくれたYeoh。その視線の先に確かな未来を感じました。

夢はでかく熱い希望に溢れています
Lostgens’ Contemporary Art Space
http://lostgenerationspace.blogspot.jp/
https://www.facebook.com/lostgens/

Yeohへのインタビューを終えて、もう一軒、まだ訪れてなかった最後のアートスペースへと車で移動します。やってきました、ここは『Rumah Api』という、どちらかという大きなライブハウスですね。

ヤバそうな雰囲気プンプンの入り口

話を聞かせてくれたのは、2階に併設するレコードショップの店長Wan Hazrilさん。『Rumah Api』は2010年にオープン。パンク、ハードコア、メタル、などマレーシアの様々な音楽ジャンルのミュージシャンが集まります。野外でも大きな音楽イベントなども開催することもあるそう。

訪れたときもギグを開催中

こちら二階へと続く階段

二階のレコードショップです。パンクやハードコアの音源がずらり。

『Rumah Api』には、ミュージシャンだけでなくアクティビストなんかも出入りしていて、つい先日、政府に反対する大きな音楽イベントを開催した際は、多くの逮捕 者が出たそう。オーナーもミュージシャンで訪れたときは演奏中。帰る直前に少しだけお話を聞くことができました。これだけのアングラなスペースを運営しているということで、ゴリゴリの活動家かと思いきや、気の優しい兄ちゃんという感じでとても好感が持てました~

話を聞かせてくれたWan Hazrilさん(左)とオーナーのMan Beranakさん(右)

アーティストも多く訪れてくるようで、音楽とアートが近いマレーシアっていいな~

マレーシアを代表するハードコア&アンダーグランド&ミュージックスペース
Rumah Api
http://rumahapi.weebly.com/
https://www.facebook.com/Rumah-Api-157888934276502/?fref=ts

さてこれにてマレーシア編は終了。次はいよいよベトナム編に突入します。

  • lostgens’

    8c, jalan panggung, 50000 Kuala Lumpur
    設立年: 2004
    アクティビティ: ギャラリー、レジデンス、トーク、スクリーニング、ワークショップ、スクール、アートプロジェクトの企画運営
    アートを武器に悪しき政策に対して様々なアクションを展開する

  • Rumah Api

    178 Jalan Merdeka, Kg Baru Ampang, Pekan Ampang
    設立年: 2010
    アクティビティ: ライブ、ショップ
    マレーシアのパンクシーンの聖地