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普及だって人形だって 2016年2月4日 (24)Lir Space、(25)Papermoon Puppet Theater

ジョーグジャー、まだまだ先は見えませんが一歩一歩ですね。この弱りかけた記憶が続く限り。

ではいってみよ!

本日はまず原チャリを走らせ『Lir Space』というアートスペースへと向かいます。ここは珍しくジョグジャの中心よりやや北の地域にあるスペース。ほとんどのオルタナティブスペースはジョグジャの南にあるのです。なぜなら南は安いから。では『Lir Space』はなぜ北にあるでしょうか?

外観です。いい味出しています。

お話を聞かせてくれたのはファウンダーでご夫婦のMira AsriningtyasさんとDito Yuwonoさん。『Lir Space』は2011年に設立。カフェ、ギャラリー、レジンデンス、ショップを併設したとっても可愛らしい、日本にあったら女性がたくさん押し寄せる人気店になるだろうなというスペース。

Mira AsriningtyasさんとDito Yuwonoさん

『Lir Space』のコンセプトは、アートを一般の人たちに開いていくための、仲介役を担うスペースでありたいということ。北と南の話に少し触れましたが、ジョ グジャの中心から南はアーティストがたくさん暮らしていてアーティストランスペースもたくさんあるのですが、北はどちらかというと住宅地や普通大の学生が 多く暮らしていて、だからこそスペースをこの地域でオープンしたのだそう。開催するプログラムもより一般の人向けのものが多くて、学生をはじめ、美大を出たけれどアートからしばらく離れていた人たちなどを対象に展開するのだそう。

ギャラリーです

女性のハートを捉えるであろう小物がいっぱい

カフェもかわゆい

レクチャーやワークショップなども一般の人たち向けに組んでいます。特にビデオアートに力を入れていて(ビデオさえあれば制作ができるから)、「Exhibition Laboratory」と名付けたプログラムでは、一般人や学生向けに3ヶ月間かけてビデオアートを教え、最後に個展を発表させるという講座を開いていま す。ここでは現役で活躍するアーティストやリサーチャーなどもゲストに招き、学生たちに向けてレクチャーをおこなってもらっています。プログラムを受講した生徒の中には、その後、作品を作り続ける人もいれば、また普通の生活に戻っていく人もいるとのこと。ただアーティストにならずともたくさんの人がアートのエッセンスを理解することが重要なのだと彼らは考えています。

レジデンス作家によるスペースの壁に描かれたミュラル

ご近所さんの壁もいっときましょう

アコースティックの音楽ライブなども月一で行い、ここには地域住民が多く参加するとのこと。またある時、レジデンスに招待したグラフィティーの作家がス ペースの外壁に描いたミュラル(壁画)を見て、自分たちの家の壁にも書いて欲いとなった逸話なども聞かせてくれました。地域に根ざしたアートスペースですね。「アーティストのためのアートスペース」だけでなく、こうした「一般の人々のためのアートスペース」の存在は、ジョグジャのアートの奥行きを感じさせてくれます。

自慢の本棚の前でパチリ

僕も私もアートしましょう
『Lir Space』
http://www.lirspace.net/
https://www.facebook.com/Lir-Shop-125619777517734/

さて!お次にお邪魔したのは『Papermoon Puppet Theater』です。こちら人形劇と映像と音楽とパフォーマンスが融合したインドネシア初のマルチ人形劇団。黄金町にも招待されたことがあり、世界的でもすっごく有名な方がたです。ファウンダーのMaria Tri SulistyaniさんとIwan Effendiさんご夫婦には、日本で以前お会いしていて久しぶりの再会です。Ongoingのことも覚えていてくれました~

Maria Tri Sulistyaniさん

Iwan Effendiさん

『Papermoon Puppet Theater』は、2006年に活動を開始。はじめの1年間は子供達向けのワークショップのようなものを行っていましたが、2007年に子供に限らず、より多くの世代の人々に向けた活動を展開するようになります。その内容は、インドネシアの歴史や社会への批評性を孕んだ、まさしく大人に向けた人形劇といってもよいかもしれません。

スタジオの人形たち。かっこええー。

誰かに師事してはじめたの?と聞いてみましたが、これが全くのオリジナルみたい。もちろんインドネシアにも人形劇は昔からあったと思いますが、彼らのよう に映像や音響を駆使した人形劇は他に類を見ません。ここ数年はアジアだけでなく世界中から招待され精力的に活動を続けています。

手前は人形じゃないよ、二人のお子さんですよ。かっわええー

2年に1度、パペット劇のフェスティバルも開催。といってもダンサー、アニメーション、写真、メディアアートなどであっても、人形が関わってさえいれば参 加可能ということで、かなり幅広いアートの祭典。世界中を飛び回りながらもそうしたプログラムもやっているなんてパペット愛がハンパないですね。現在はお 二人を含め総勢6人の劇団。ワークショップや学校機関との連携プログラムなどパペットによる教育にも力を入れています。まだスタジオしかもってない彼らですが、いつかは一般に開かれたスペースをジョグジャで持ちたいと話してくれました。

ではみなさんご一緒に。

パペットは世界で踊る
Papermoon Puppet Theatre
http://www.papermoonpuppet.com/

  • Lir Space

    Jl.Anggrek 1/33 Baciro, Jogjakarta
    設立年: 2011
    アクティビティ: ギャラリー、レジデンス、ショップ、カフェ、ワークショップ、スクール、ライブ
    一般の人々を対象にしたアートスペース

  • Papermoon Puppet Theater

    Jogjakarta
    設立年: 2006
    アクティビティ:ワークショップ、アートプロジェクトの企画運営
    大人を対象とした人形劇を世界を舞台に展開するシアター